電験一種 H24年 理論 問6
次の文章は,磁気回路に関する記述である。文中の(0)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選びなさい。
図1に示すように,断面が半径10 [mm] の円形で,内半径が100 [mm],外半径が120 [mm] の環状鉄心があり,中心に1 [kA] の電流が流れているとする。真空の透磁率を \( \mu_{0}=4\pi\times10^{-7} \) [H/m],鉄の比透磁率を800とするとき,環状鉄心中の磁束を求める。
環状鉄心の磁路長として,半径 110 [mm] の位置の円周の長さを考えると,環状鉄心の磁気抵抗\( R_{m} \)は(1) [A/Wb] である。よって,環状鉄心中の磁束\( \Phi \)は(2) [Wb] と求まる。
次に,図2に示すようにこの環状鉄心を平均磁路長が\(110 \pi \)[mm] の二つの鉄心に分割し,2 [mm] の空げきを2箇所設ける。空げきの磁路も,半径 10 [mm] の円形の断面を想定し,磁束の膨らみや漏れは考慮しない。これにより,中心を流れる電流が1 [kA] のときの環状鉄心中の磁束密度\( B \)は(3) [T]と求まる。
中心を流れる電流が増していくと,環状鉄心中の磁束密度はそれに比例して増加し,いずれ飽和する。環状鉄心の飽和磁束密度を1.50 [T] とし,飽和磁束密度に達するまでは環状鉄心中の磁界は電流値に比例して増加していくとすると,中心を流れる電流\( I \)が(4) [A] のときに環状鉄心中の磁束密度は飽和磁束密度に達する。
このような鉄心の空げき部に磁界を測定するセンサを配置することで電流を測定する方法が広く用いられている。例えば磁界センサとしては,(5)効果により磁界を測定するものなどが実用化されている。
鉄心を用いず空心コイルを電流の周りに配置し,交流電流の電磁誘導による誘起電圧から電流波形を計測する(6)コイルなども,磁界から電流を測定する方法として普及している。
| (イ)(4) | \(5.81\times 10^{3}\) | (ロ) | \(2.28\times 10^{-4}\) | (ハ) | 2.75 | (ニ)(3) | \(2.58\times 10^{-1}\) |
| (ホ) | \(3.14\times 10^{-1}\) | (ヘ) | ペテルゼン | (ト) | ペルチェ | (チ) | \(1.16\times 10^{4}\) |
| (リ) | \(4.52\times 10^{2}\) | (ヌ)(5) | ホール | (ル) | 2.21 | (ヲ) | ポッケルス |
| (ワ) | 1.45 | (カ) | ヘルムホルツ | (ヨ)(1) | \(2.19\times 10^{6}\) | (タ) | \(4.77\times 10^{3}\) |
| (レ)(6) | ロゴウスキー | (ソ)(2) | \(4.57\times 10^{-4}\) |
出典:平成24年度第一種電気主任技術者理論科目B問題問6
解説
磁気回路の問題です。あまり難しくはないと思うので冷静に考えれば解けると思います。
磁気抵抗は以下で表されます。
ここで、\( F \)は起磁力です。コイルの巻数\( N \)と流れる電流\( I \)の積で定義されます。また、\(\Phi\)は磁束です。
鉄心における磁束\(\Phi\)は以下で表されます。
ここで、\( B \)は磁束密度、\(S\)は鉄心の断面積、\(l\)は磁路長、\( \mu \)は透磁率です。
よって、磁気抵抗は以下で表されることが分かります。
これに今回の数値を当てはめます。透過率は真空の透過率 \( \mu_0 \) と比透過率 \( \mu_r \) を考慮することに注意します。
また、鉄心の半径を \( R \)、断面積の半径を \( r \) とします。
よって答えは(ヨ)の\(2.19\times 10^{6}\)です。
(1)より、磁束 \( \Phi \) は以下で表せます。
今回の問題では\(N=1\)、\(I=1000\)なので、数字をあてはめ計算すると
よって答えは(ソ)の\(4.57\times 10^{-4}\)です。
鉄心の磁気抵抗は分割されただけで長さは変わっていないことから同じなので、空げき部分の磁気抵抗\(R_m^{\prime }\)を求めます。
磁束の漏れがないことから、鉄の比透磁率がないことを考慮すればいいので、空げき部分の磁気抵抗は
となります。
(1)より、磁束密度と磁気抵抗の関係は以下となります。
磁気抵抗が鉄心部分と空げき部分の合計値になることに注意して磁束密度を求めます。
よって答えは(ニ)の\(2.58\times 10^{-1}\)です。
(3)で、\(B = 1.50\)[T]となる\(I\)を求めればいいです。\(N=1\)であることから\(F\)と\(I\)は同じ値になるので
よって答えは(イ)の\(5.81\times 10^{3}\)です。
答えとしては(ヌ)のホールです。
ホール効果は電流が流れている半導体や金属に磁界をかけると、電流と磁界の両方に垂直な方向に起電力が発生する現象です。
空げき部分にこのセンサを配置することで磁界を測定し、電流の大きさが分かります。
なお、他の誤答用選択肢は
ペテルゼン:消弧リアクトル接地方式をペテルゼンコイル接地というらしいです。(自分がよく分かってないので確認必要)
ペルチェ効果。異なる金属や半導体を接合して電流を流すと、熱の吸収・発生が起こる現象。
ポッケルス効果。電界に比例して物質の屈折率が変化する光学的な現象。
ヘルムホルツ:ヘルムホルツコイル、均一な磁界を作るためのコイルの配置であり効果の名前ではありません。
のような感じです。他の問題で問われる可能性もあるので覚えておいて損はないと思います。
ロゴウスキーコイルの説明なので、答えは(レ)のロゴウスキーです。