電験一種 H22年 理論 問4

次の文章は,2極真空管に関する記述である。文中のに当てはまる語句を解答群の中から選びなさい。

 真空中への電子の放出には,金属を高温にして固体内の電子が仕事関数より大きな熱エネルギーを得ることで電子を放出させる熱電子放出がよく用いられる。真空中において対向している二つの金属を考え,一方の金属のみを加熱する。この加熱される金属を電極 \(\text{A}\) とし,もう一方を電極 \(\text{B}\) とする。また,電極 \(\text{A}\) は接地され,その電位は零である。電極 \(\text{A}\) から熱電子が放出されている状況で,電極 \(\text{B}\) の電位を (1) とすると,電極 \(\text{A}\) から放出されたほとんどの電子は電極 \(\text{B}\) に集まる。他方,これとは逆の電位を電極 \(\text{B}\) に与えると,電極 \(\text{A}\) から放出されたほとんどの電子は電極 \(\text{A}\) に戻ってしまう。したがって,電極 \(\text{A}\)-\(\text{B}\) 間の電圧-電流特性は (2) を示す。

 電流が流れる方向の電圧を電極 \(\text{A}\)-\(\text{B}\) 間に印加したとき,電極 \(\text{A}\) の温度が低ければ,真空中に電子はわずかしか存在せず,電極 \(\text{B}\) から出た電気力線はほとんどすべて電極 \(\text{A}\) で終端する。ここで,放出される電子数が電極 \(\text{A}\)-\(\text{B}\) 間の電圧によらず一定とすると,電流は電圧 (3)

 しかし,電極 \(\text{A}\) の温度を上げていくと放出された電子の量が増え,その電子の (4) 効果が顕著になる。温度を上げ続けるとさらに出てくる電子の量が増え,電子を (5) 電界が電極 \(\text{A}\) の周りにできる。したがって,電極 \(\text{A}\) の温度が高いときは,電極 \(\text{A}\)-\(\text{B}\) 間の電圧の大きさで飛び出てくる電子の量を変えられ,電圧で電流量を変化できる。

解答群
(イ)(3) に依存しない (ロ)(1)
(ハ) 電極Bの方向に加速する (ニ) の2乗に比例して増加する
(ホ)(4) 空間電荷 (ヘ) 増幅特性
(ト) (チ)(5) 電極Aへ押し戻す
(リ) 分極 (ヌ) 温度制限
(ル) 抵抗と同じ特性 (ヲ) 電極Aから引き出す
(ワ) 電極Aと同電位 (カ)(2) 整流特性
(ヨ) に比例して増加する
出典:平成22年度 第一種電気主任技術者 一次試験 理論科目 問4

解説

分からないなりに電子の動きを考えて答えれば何問かは拾えるような問題かと思います。

熱電子が電極Bへ集まるために必要な電極Bの電位 正解 (ロ)

電子は負の電荷を持つため、電極Bがの電位を持つ場合に引き寄せられます。

逆の負の電位にすると、電子は反発するので電極Aへ戻ります。

よって答えは(ロ)の正です。

2極真空管の電極A-B間における電圧-電流特性 正解 (カ)

電極Bが正電位の時は電子が引き寄せられるが、負電位の時は引き寄せられないというのは、電極Bが正電位の時のみ電流が流れることを意味しています。

これは交流を直流にする整流の働きをしていることを示します。

よって、答えは(カ)の整流特性です。

温度制限領域における電流の電圧依存性 正解 (イ)

放出される電子数が電極A-B間の電圧によらず一定ということは、電圧をあげても温度により放出された電子の数に電流が制限されるということなので、電流は電圧に依存しません。

よって答えは(イ)に依存しないです。

電極Aの温度上昇に伴い顕著となる電子の諸効果 正解 (ホ)

温度が上がり放出された電子の量が増えると、その電子自体が後から来る電子に影響を及ぼす電界を形成します。

このように、空間に存在する電荷が互いに及ぼす電界によって影響を受けることを空間電荷効果といいます。

となります。よって答えは(ホ)の空間電荷です。

空間電荷制限領域において電極Aの周りに形成される電界の作用 正解 (チ)

電子は負の電荷を持ちますので、それによる電界により後から出てくる電子は反発力を受けます。

これは電子が押し返される向きなので、電極Aの周りにできる電界は電子を電極Aへ押し戻す電界です。

よって答えは(チ)の電極Aへ押し戻すです。

この時は、電圧を上げれば電極Bへ到達できる電子を増やせますので、電圧によって電流が制御できることになります。

正解一覧
(1)
(2) 整流特性
(3) に依存しない
(4) 空間電荷
(5) 電極Aへ押し戻す