\(xyz\) 直角座標系において磁束密度 \(\boldsymbol{B} = (B_x, \, B_y, \, B_z)\) に対して,次の式を満足するベクトル \(\boldsymbol{A} = (A_x, \, A_y, \, A_z)\) を,\(\boldsymbol{B}\) のベクトルポテンシャルという。
図に示すように,真空中において,\(z\) 軸上の無限長導体を正方向に流れる電流 \(I\) による点 \(\text{P}\) におけるベクトルポテンシャルを求めてみる。
図中の電流素片 \(I \mathrm{d}\boldsymbol{l}\) による点 \(\text{P}(x, \, y, \, 0)\) における磁束密度 \(\mathrm{d}\boldsymbol{B}\) のベクトルポテンシャル \(\mathrm{d}\boldsymbol{A}\) は,点 \(\text{P}\) の \(I \mathrm{d}\boldsymbol{l}\) からの距離を \(r\) として,次式で与えられる。ここで,\(\mu_0\) は真空の透磁率である。
電流が \(z\) 軸方向成分しか持たないことから,ベクトルポテンシャルは (1) 方向成分だけを持つ。
点 \(z_1\) から点 \(z_2\) に流れる電流による,点 \(\text{P}\) におけるベクトルポテンシャルの (1) 方向成分 \({A_{(1)\text{成分}}}^{z_1 z_2}\) は,②式から次式で表される。
ここで,\(z_1 \to -\infty\),\(z_2 \to +\infty\) とすると,ベクトルポテンシャルは発散してしまう。
そこで,\(z\) 軸からの距離 \(1 \ [\mathrm{m}]\) の点のベクトルポテンシャルを基準として,点 \(\text{P}\) のベクトルポテンシャルを表すことを考える。すなわち,③式で表される任意の点のベクトルポテンシャルと,基準のベクトルポテンシャルとの差として新たにベクトルポテンシャルを表すことを考える。また,対称性を考慮して,\(-\infty\) から \(+\infty\) までの積分値の代わりに \(0\) から \(+\infty\) までの積分値を2倍することで,次式を得る。
この積分計算を行うと,\({A_{(1)\text{成分}}}\) は次式のように求めることができる。
これを①式に代入することで,点 \(\text{P}\) の磁束密度の各成分を求めることができる。例えば,磁束密度の \(x\) 軸方向成分 \(B_x\) は次式のとおり求まる。
同様にして,\(B_y\),\(B_z\) を求めることができ,これらより点 \(\text{P}\) における磁束密度 \(\boldsymbol{B}\) の大きさは以下のように表すことができる。