電験一種 R6年 法規 問4
次の文章は,自家用電気工作物による波及事故に関する記述である。文中の(0)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
a) 自家用電気工作物による波及事故とは,自家用電気工作物の(1)又は自家用電気工作物の誤操作若しくは(2)ことにより一般送配電事業者等に供給支障を発生させた事故とされている。
b) 架空配電系統で発生した事故は,一般送配電事業者等の配電用変電所で遮断するが,雷による事故や樹木等が一時的に電線に接触して起きる地絡が多いため,一定時間経過後に(3)再送電し,停電時間を短縮している。 事故点が自家用電気工作物側にあり,開閉器等により切り離されていない場合,再送電によって再び事故電流が流れ,配電用変電所で遮断し,停電となる。この場合,一般送配電事業者等の供給支障となるため,自家用電気工作物を設置する者は,系統と接続する電圧が3000V以上の場合は,自家用電気工作物の(4)する産業保安監督部長に報告しなければならない。
c) 波及事故の原因として高圧地中引き込みケーブルの地絡事故がある。その原因として(5)現象が多く見られる。そのため(5)現象への耐性を強化したE-Eタイプ(内部半導電層/絶縁体/外部半導電層の3層同時押出成形)のケーブルの採用が推奨されている。
(イ)(4) | 設置の場所を管轄 | (ロ) | 電気主任技術者を認定 |
(ハ)(1) | 破損 | (ニ) | 復旧しない |
(ホ) | 手動により | (ヘ) | 火災 |
(ト) | 風水害被害 | (チ) | 停止させる |
(リ) | 紫外線劣化 | (ヌ)(3) | 自動的に |
(ル) | 遠隔操作にて | (ヲ)(2) | 操作しない |
(ワ) | シュリンクバック | (カ)(5) | 水トリー |
(ヨ) | 登録 |
出典:令和6年度第一種電気主任技術者法規科目A問題問4
解説
電気関係報告規則の問題です。
・架空送電線の事故は一旦故障個所を遮断した後に再閉路すれば復旧することが多いので、一定時間経過後に自動的に再送電されます。「停電時間を短縮している」と問題にあることから、自然な文章になるものを選ぶと必然的に(ヌ)自動的にを選ぶことになるかと思います。
・波及事故の原因として、(リ)紫外線劣化、(ワ)シュリンクバック、(カ)水トリーはいずれも考えられますが、E-Eタイプのケーブルは耐水トリー性に優れた製品なので水トリーが答えとなります。紫外線劣化は架橋ポリエチレンが紫外線で劣化はしますが、問題が高圧地中引き込みケーブルの話なので紫外線の影響は小さいと考えられます。
参考:【注意喚起】更新推奨時期に満たない高圧ケーブルにおける水トリー現象に係る注意喚起
電気関係報告規則 第一条 第二項 第七号
「供給支障事故」とは、破損事故又は電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより電気の使用者(当該電気工作物を管理する者を除く。以下この条において同じ。)に対し、電気の供給が停止し、又は電気の使用を緊急に制限することをいう。ただし、電路が自動的に再閉路されることにより電気の供給の停止が終了した場合を除く。
電気関係報告規則 第三条 第一項 第十二号
事故 | 報告先 | |
電気事業者 | 自家用電気工作物を設置する者 | |
十二 一般送配電事業者の一般送配電事業の用に供する電気工作物、配電事業者の配電事業の用に供する電気工作物又は特定送配電事業者の特定送配電事業の用に供する電気工作物と電気的に接続されている電圧三千ボルト以上の自家用電気工作物の破損又は自家用電気工作物の誤操作若しくは自家用電気工作物を操作しないことにより一般送配電事業者、配電事業者又は特定送配電事業者に供給支障を発生させた事故 | 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 |