電験一種 R5年 法規 問4
次の文章は,低圧電路の絶縁監視に関する記述である。文中の(0)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
「電気設備技術基準」の規定により,原則的に,電路は大地から絶縁することとなっている。高圧受電の自家用電気工作物の低圧電路については,その絶縁状態を監視する技術が実用化され,経済産業省の告示及び内規にもそれを使用した場合の点検頻度が規定されたことから,以降広く活用されている。
この低圧電路の絶縁監視技術の代表的な方式として,主変圧器の二次側低圧電路の(1)接地工事の接地線に流れる漏洩電流\((I_0) \)を検出することにより常時絶縁監視を可能とする\(I_0 \)方式がある。
しかし,(2)が大きい場合,(2)による電流\((I_{0c}) \)が大きくなり,電路に絶縁不良がなくとも,漏洩電流\((I_0) \)が大きくなるという課題がある。このため,漏洩電流\((I_0) \)のうち,絶縁抵抗による電流成分\((I_{0r}) \)のみを検出する\(I_{0r} \)方式も実用化されている。
なお,\(I_0 \)方式も\(I_{0r} \)方式も,①(3)の絶縁劣化が検出できない,②複数の非接地相の漏洩電流が(4)場合に検出できない,という共通の課題がある。これらの課題に対しては,\(I_{gr} \)方式という絶縁監視技術が開発されている。これは,商用周波数に対して(5)の監視電源電圧を(1)接地工事の接地線を介して加え,電路と対地間に流れる漏洩電流のうちから監視電源による電流\((I_g) \)を取り出し,さらに対地絶縁抵抗による電流成分\((I_{gr}) \)のみを検出する方式である。
(イ) | 変動する | (ロ) | 線間静電容量 | (ハ) | 非接地相 |
(ニ)(4) | 打ち消し合う | (ホ) | 同期する周波数 | (ヘ) | 連続状態 |
(ト)(5) | 異なる周波数 | (チ) | C種 | (リ) | 同一の周波数 |
(ヌ) | A種 | (ル)(2) | 対地静電容量 | (ヲ) | 負荷容量 |
(ワ)(3) | 接地相 | (カ) | 同相の | (ヨ)(1) | B種 |
出典:令和5年度第一種電気主任技術者法規科目A問題問4
解説
条文の問題ではありません。方式を知らないとしても文脈よりもっともらしい選択肢を選べばそれがそのまま正解になる印象です。
詳細な解説は書籍や別サイトを見てもらった方がいいです。
\(I_{0} \)、\(I_{0r} \)、\(I_{0c} \)についてはここが参考になります。I0r (あいぜろあーる) とは? | 計測関連用語集 | TechEyesOnline
・1.は主変圧器の二次側低圧電路とあるのでB種接地です
・2.\(I_{0c} \)を知っていればそれで終わりですが、文脈より絶縁抵抗による電流成分ではない(=容量分の電流)であると判断でき、それは対地静電容量を通して流れるので\(I_{0c} \)が何か分からなくても解けると思います。
・3.①電流を検出することにより絶縁劣化を判断するということは、逆に言えば電流が流れなければ判断ができないということです。接地相は対地電圧が0Vなので、絶縁劣化しても抵抗分の電流が流れないということは推測できると思います。
・4.消去法で打ち消し合うにしかならない気がします。変動することで検出できなくなる理由は説明できず、(あり得るかは別として)同相だとしても電流が流れているのであれば絶縁劣化があること自体は分かると思われます。
・5.こちらも検出するのであれば同じよりも異なる周波数の電圧を加えた方が判別はつけやすいと感覚的には思うかと思うので自然と異なる周波数を選ぶ人が多いと思われます。