電験一種 R4年 法規 問4
次の文章は,我が国の電力系統における周波数調整に関する記述である。文中の(0)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
電力系統の周波数は,電気の品質を表す代表的な要素の一つである。周波数を一定に保つことは,需要家側に悪影響を及ぼさないだけでなく,電力の供給側にとっても必要である。周波数の変動は,同期発電機の回転数の変化を意味するが,発電機の連続運転が可能な許容範囲があるため,系統周波数の大幅な低下により,一部の発電機が停止した場合,それによってさらに周波数が低下して他のたくさんの発電機が停止する(1)を起こし,大停電を起こすこともありうる。
同期発電機で機械的入力エネルギーが電気出力エネルギーを上回ると回転数は上昇し,周波数が上がる。その逆では周波数が下がる。機械的入力エネルギーを一定に保っていても,現実の系統の負荷は時々刻々変化するため,周波数が変動する。長周期変動分の負荷変動は,日負荷曲線からある程度予測できるため,(2)として発電機出力値をあらかじめ指令しておく。それよりも短周期の変動分については(3)で対応する。(3)は,時々刻々変化する需要と供給の差を周波数の変化としてとらえ,発電機出力を自動制御するものである。これらよりもさらに短周期の変動分については,(4)と負荷の自己制御性によって吸収する。(4)とは,発電機の調速機によって回転速度を一定に保つよう自動で応動させる運転をいう。また,負荷のうちかなりの部分を占める回転機負荷の場合,周波数が下がると(5)が下がるが,この特性を負荷の自己制御性と呼んでいる。
(イ) | 設備過負荷現象 | (ロ) | 力率 | (ハ) | デマンドレスポンス |
(ニ) | 長期需要想定 | (ホ)(5) | 消費電力 | (ヘ) | ロードリミッタ運転 |
(ト)(3) | 負荷周波数制御 | (チ) | ベース供給力 | (リ)(4) | ガバナフリー運転 |
(ヌ)(1) | 周波数異常現象 | (ル) | 高速バルブ制御 | (ヲ)(2) | 経済負荷配分 |
(ワ) | 回転数 | (カ) | 脱調現象 | (ヨ) | 定周波数制御 |
出典:令和4年度第一種電気主任技術者法規科目A問題問4
解説
二次試験の電力・管理でも出る内容なのでよく理解すべき問題かと思います。参考:用語解説 第30回テーマ: 負荷周波数制御(LFC) | 電気学会 [B] 電力・エネルギー部門
1.周波数の事がいろいろ書いてあって答えがそのまま周波数異常現象というのは問題的にはそのまますぎて違和感がありますが、消去法的にこれになります。過負荷に関連する記載は本文中になく、また脱調現象は同期外れのことで、答えとしてはありえなくもないですが相差角についての記載が本文中にないのでこれも答えとしては不自然かと思います。
2.経済負荷配分です。2~4上記参考サイト参照。
3.負荷周波数制御です。
4.ガバナフリー運転です。
5.回転機負荷は周波数が下がると消費電力が減少します(上がれば増加)。当然回転数も下がりますが負荷の自己制御性と文章が繋がりません。なお、インバータを使用している機器はこれにあてはまりません。