電験一種 R4年 法規 問3
次の文章は,電力系統の中性点接地方式に関する記述である。文中の(0)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
a) 一線地絡時の健全相対地電圧の上昇が1.3倍以下になる接地方式を(1)接地という。
b) 中性点が接地されていない非接地方式は,一線地絡時の健全相対地電圧が(2)倍に上昇し,機器の絶縁を脅かしたり,保護リレーの事故検出が確実でないなどの欠点がある。
c) 中性点を直接大地に接続する直接接地方式は,地絡電流が大きいので保護リレーの動作が確実となる利点がある一方で,地絡電流による(3)障害が通信線に与える影響は大きく,通信機器などに障害を及ぼすことがある。
d) 中性点に抵抗を接地する抵抗接地方式は,一線地絡電流を抑制するため,110~154 kV 系統では,高抵抗接地方式が採用されている。高抵抗接地方式は,直接接地方式に比べ一線地絡電流が小さいため,通信線に与える影響は少ないが,健全相の電圧上昇が高いので,(4)レベルの低減を図ることができない。
e) 消弧リアクトル接地方式は,中性点をリアクトルで接地し,そのインダクタンスと送電線の対地静電容量を(5)共振させることにより,一線地絡時の故障点アークを自然消弧させるものである。
(イ)(4) | 絶縁 | (ロ) | 有用 | (ハ) | \(\sqrt{2}\) |
(ニ)(3) | 電磁誘導 | (ホ) | 2 | (ヘ) | 充電 |
(ト) | 放電 | (チ) | 縦列 | (リ) | コロナ雑音 |
(ヌ) | 直列 | (ル)(1) | 有効 | (ヲ) | 無効 |
(ワ)(2) | \(\sqrt{3}\) | (カ)(5) | 並列 | (ヨ) | 静電誘導 |
出典:令和4年度第一種電気主任技術者法規科目A問題問3
解説
中性点接地方式は二次試験の電力・管理でも出る内容なので穴埋めだけでなく理屈を理解したいところです。
1.一線地絡時の健全相対地電圧の上昇が1.3倍以下になる接地方式を有効接地といいます。直接接地がこれにあたります。
2.非接地方式の場合、一線地絡時の健全相対地電圧は\(\sqrt{3}\)倍に上昇します。
3.直接接地方式は地絡電流が大きいため電磁誘導障害の影響が大きいです。
4.電圧上昇が高いので絶縁レベルの低減を図れないが最も自然な文章になるかと思われます。
5.並列共振時インピーダンスが無限大になることが分かっていれば地絡電流が制限されることはイメージしやすいかと思います。
中性点接地方式 | 音声付き電気技術解説講座 | 公益社団法人 日本電気技術者協会 こちらが大変参考になります。
対称座標法5(実践編2) 地絡回路の計算(1)一相地絡、二相短絡地絡 | 公益社団法人 日本電気技術者協会 健全相対地電圧はこちらが参考になります。一線地絡時の健全相対地電圧を零相インピーダンスが\(\infty\)だとして考えると大きさが\(\sqrt{3}\)倍がになることが分かります。
電気設備の技術基準の解釈 第5章 第1節 第148条 低圧幹線の施設 抜粋