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電験一種 R1年 法規 問3

次の文章は,電力系統における電圧・無効電力制御に関する記述である。文中の(0)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

 電力系統の電圧は,需要と供給力の変化に伴い絶えず変動する。電圧が変動すると,需要家の各種電気機器の正常な使用あるいは寿命などに影響を与えるため,電気事業法施行規則で,電気を供給する場所において,標準電圧100Vの回路では101V±6V, 200Vの回路では202V±20Vをそれぞれ超えない値に維持すべきと定められている。

 そのため電力供給側においては,系統各所の電圧を,一般的に標準電圧の±5%以内に保つよう,発電機の(1)や変圧器の負荷時タップ切換装置などを使用し電圧・無効電力制御が行われている。

 例えば,発電所においては,同期発電機の励磁を強めて内部誘導起電力を高め,電力系統側の電圧より高くすることにより,電力系統側から同期発電機に(2)電流が流れ,(3)を投入したことと同等の制御が行われている。

 変電所においては,下位の系統の電圧が適正になるよう,変圧器の二次側(負荷側)に目標とする電圧を定め,主要変圧器のタップを手動又は自動で切り換えて電圧調整を行っている。一般的には,重負荷である昼間は二次側の目標とする電圧を(4)定めている。

 その他,サイリスタの位相制御により,無効電力を連続的に,また高速に制御できる(5)を変電所などに設置し,系統電圧を一定範囲に維持している。

(イ) 負荷時電圧調整器 (ロ) 同相 (ハ) パワーコンディショナ
(ニ)(3) 電力用コンデンサ (ホ) ロータリーコンデンサ (ヘ) 誘導電圧調整器
(ト) 分路リアクトル (チ)(4) 高く (リ)(2) 進相
(ヌ) 標準電圧に (ル) 遅相 (ヲ)(5) 静止形無効電力補償装置
(ワ) 低く (カ) 中性点接地抵抗器 (ヨ)(1) 自動電圧調整装置

出典:令和元年度第一種電気主任技術者法規科目A問題問3

解説

二次試験の電力・管理でも似た問題が出るため、穴埋め箇所を暗記するのではなく関連するものを理屈から覚えたい問題です。

1.系統の電圧調整には発電機の自動電圧調整装置がつかわれています。問題によってはAVR(Automatic Voltage Regulator)として出題されるので、どちらも覚える必要があります。

2.同期発電機の励磁を強めると電力系統側から同期発電機に進相電流が流れます。発電機に進み電流が流れるのは低励磁の時ではと勘違いしそうになりますが、これは見方の問題で、低励磁の時は電力系統側から見ると遅れ電流が流れます。励磁を強めた時はこの逆なので、系統側から見ると進み電流が流れるで正しいです。 ここは紛らわしいところなので、(3)で電力系統側の電圧を高くするには電力用コンデンサの投入が必要→電力用コンデンサに流れるのは進み電流として答えを求めにいってもいいかと思います。

3.電力用コンデンサを投入すると電力系統側の電圧が高まります。

4.重負荷の時は負荷端電圧の低下が問題になりますので、電圧の目標値を高く設定します。

5.静止形無効電力補償装置です。これもよくSVC(Static VAR Compensator)として出題されますので、セットで覚える必要があります。

  • (1)ヨ 自動電圧調整装置
  • (2)リ 進相
  • (3)ニ 電力用コンデンサ
  • (4)チ 高く
  • (5)ヲ 静止形無効電力補償装置