電験一種 R8年 電力 問2

次の文章は,交流遮断器の故障遮断と遮断責務に関する記述である。文中のに当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

 電力系統に故障が発生すると,保護リレーからの指令により該当する遮断器を開放し,故障点を切り離す。

 遮断器が故障電流を遮断する場合,(1) エネルギーが極小となる (2) で遮断が行われる。

 遮断する電流や遮断後に遮断器の極間にかかる電圧は,電力系統や故障点によって異なるため,これらを踏まえた遮断性能を有する必要がある。特に厳しい遮断責務が要求されるのは,以下のケースである。

・遮断器の設置箇所近傍で故障が発生した場合の遮断で,大きな故障電流を遮断した際に過渡的な高い電圧が発生する (3) 遮断

・遮断器から数キロメートル離れた架空送電線で故障が発生した場合の遮断で,遮断器と故障点の間の進行波の往復反射により高い急峻な電圧が発生する (4) 遮断

・無負荷充電送電線,ケーブル線路,コンデンサバンクなどの容量性負荷が接続されている回路を遮断する場合,再点弧を生じると異常電圧が発生する (5) 遮断

解答群
(イ) 異相地絡故障 (ロ) 過渡回復点 (ハ)(2) 電流零点
(ニ) ループ電流 (ホ) 電圧零点 (ヘ) 遠距離線路故障
(ト) インパルス (チ)(1) アーク (リ)(5) 進み小電流
(ヌ) コロナ (ル) 誘導電流 (ヲ)(3) 端子短絡故障
(ワ)(4) 近距離線路故障 (カ) 遅れ小電流 (ヨ) 励磁電流
出典:令和8年度 第一種電気主任技術者 一次試験 電力科目 問2

解説

難易度は高くない問題にあたるかと思います。類題:令和1年度 第一種電気主任技術者 一次試験 電力科目 問5

交流遮断時に極小となるエネルギー 正解 (チ)

交流遮断器で電流を遮断する際、接点が開離すると接点間にアークが発生します。アークは高温のプラズマ状態にあり導電性を持ちます。これが完全に消滅しない限り電流は流れ続けてしまいます。

答えは(チ)のアークです。

遮断が行われる電流のタイミング 正解 (ハ)

交流電流は1サイクルの中で必ず電流零点を通過します。この電流零点付近では、アークに投入されるエネルギーが極小となり、アーク自体も一時的に消弧しやすい状態になります。

答えは(ハ)の電流零点です。

遮断器の設置箇所近傍で発生する大きな故障電流の遮断 正解 (ヲ)

遮断器のすぐ近くで三相短絡などの故障が発生することを端子短絡故障と呼びます。この場合、系統インピーダンスがほとんど介在しないため非常に大きな故障電流が流れます。この大電流を遮断すると、遮断器の極間に過渡回復電圧(Transient Recovery Voltage)と呼ばれる過渡的に高い電圧が急激に発生し、再点弧のリスクが高まります。

答えは(ヲ)の端子短絡故障です。

数キロメートル離れた送電線故障による進行波の往復反射を伴う遮断 正解 (ワ)

遮断器から数km程度離れた架空送電線上で故障が発生するケースのことを近距離線路故障と呼びます。この距離では、故障点と遮断器の間で進行波(サージ)が反射を繰り返しながら往復します。その結果、過渡回復電圧の波形が鋸歯状(のこぎり波)で急峻な立ち上がりを持つようになり、電圧上昇率が非常に高くなります。遮断器にとっては絶縁回復が追いつきにくい厳しい条件となります。

答えは(ワ)の近距離線路故障です。

選択肢にある遠距離線路故障は、一応用語としてはないわけではなさそうでしたが定義ははっきりとしませんでした。

容量性負荷の回路を遮断する際の条件 正解 (リ)

無負荷の充電された送電線、ケーブル線路、電力用コンデンサなど、容量性の負荷を遮断する場合を進み小電流遮断と呼びます。電流自体は小さいものの、電流が零点を通過するタイミングでコンデンサ側に電荷が残留し、その直後に遮断器極間電圧が急上昇します。この時、絶縁回復が不十分だと再点弧が発生し、これが繰り返されることで異常な過電圧が発生する恐れがあります。電流は小さくても電圧的には非常にシビアな遮断責務です。

答えは(リ)の進み小電流です。

正解一覧
(1) チ アーク
(2) ハ 電流零点
(3) ヲ 端子短絡故障
(4) ワ 近距離線路故障
(5) リ 進み小電流