電験一種 R8年 理論 問1

問1 次の文章は直流回路の電圧源と電流に関する記述である。文中のに当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

 図1のように電圧源 \(E\) に網目抵抗回路が接続されている。枝 \(\text{bc}\) の電流 \(I_2\) を求めたい。ただし、網目抵抗回路の点線より左側の抵抗の値は未知とする。

 図1の電流 \(I_2\) を求めるために、図2のように図1の電圧源 \(E\) を短絡除去して枝 \(\text{bc}\) に挿入した。線形回路では相反性により、電圧源を挿入する枝と電流を計測する枝を交換しても、電流の計測値は符号を除けば等しくなる。電圧源 \(E\) の向きに注意すると、図1の枝 \(\text{bc}\) の電流 \(I_2\) と図2の枝 \(\text{ae}\) の電流 \(I_0'\) の間では等式 (1) が成立する。

 図2の回路は、もし点線より左側の抵抗の枝をすべて開放除去すると、図3の平衡ブリッジ回路となり、節点 \(\text{a}, \text{e}\) と節点 \(\text{i}\) は同電位となる。これら三つの節点が同電位であるため、回路復元すると、図2の点線より左側の抵抗の枝電流はすべて零となることが分かる。ゆえに、図2の電流 \(I_0'\) と \(I_1'\) の関係は (2) であり、抵抗 \(\lambda R_3 \ (\lambda > 0)\) から節点 \(\text{e}\) に流れ込む電流も \(I_1'\) となる。\(I_1'\) と \(I_2'\) で図2の経路 \(\text{a-b-c-d-e}\) と \(\text{a-b-i-d-e}\) の電圧降下の式を表すと、それぞれ以下となる。

\( \lambda ( \)(3)\( ) I_1' + 2 R_2 I_2' - E = 0\)
\( \lambda ( \)(3) \( ) I_1' + (\) (3) \( ) (I_1' - I_2') = 0 \)

 \(\lambda = 1\) のときの図1の \(I_2\) は、①式と②式を解くと、(1)(2) より \(I_2 = \) (4) \(\times E\) である。

 最後に、図2の枝 \(\text{bc}\) の電圧源 \(E\) を短絡除去して点線より左側の抵抗の枝に挿入した。いずれの枝に挿入したとしても、枝\(\text{ab}\)と枝\(\text{bc}\)の新たな電流をそれぞれ \(I_1''\)、\(I_2''\) とすると、相反性により \(I_2'' = \) (5) となる。\(I_2''\) は回路の等価変換で導くこともできる。テブナンの定理を用いると、その等価回路は図4の平衡ブリッジ回路となる。

問題図1
解答群
(イ)(3) \(R_1+R_3\) (ロ) \(\displaystyle \frac{1}{R_1+2R_2+R_3}\) (ハ) \(R_2+R_3\)
(ニ) \(R_1+R_2\) (ホ) \(\displaystyle \frac{1}{R_1+R_3}\) (ヘ) \(I_2=-I'_0\)
(ト)(1) \(I_2=I'_0\) (チ) \(\displaystyle -\frac{E}{R_1+R_3}\) (リ) \(\displaystyle \frac{E}{2R_2}\)
(ヌ)(4) \(\displaystyle \frac{1}{R_1+4R_2+R_3}\) (ル)(5) \(0\) (ヲ) \(I_2=2I'_0\)
(ワ)(2) \(I'_0=I'_1\) (カ) \(I'_0=2I'_1\) (ヨ) \(I'_0=-I'_1\)
出典:令和8年度 第一種電気主任技術者 一次試験 理論科目 問1

解説

線形回路の相反定理は「電圧源を挿入する枝」と「電流を測る枝」を入れ替えても、電流の値(大きさと向き)は変わらない、という性質です。

この手の問題の内容を理解するのは大変ですが、よく読めば難しいことを問われていないことも多いので、冷静に問題を読めるようにしたいところです。

相反定理から成り立つ電流の関係式 正解 (ト)

相反定理により、枝\(ae\)にあった電圧源\(E\)を枝\(bc\)に移すと、枝\(ae\)にはもともと枝\(bc\)に流れていた電流と同じ大きさの電流が流れます。

電圧源の向きに注意すると、方向は同じになるので符号も等しくなり、

$$\begin{aligned} I_2&=I'_0 \\ \end{aligned}$$

が成り立ちます。よって答えは(ト)の\(I_2=I'_0\)です。

節点a, e, iの同電位性から導かれる電流\(I_0'\)と\(I_1'\)の関係 正解 (ワ)

\(a,i,e\)の3節点が全て同電位であれば、電位差がないため左側の抵抗へは電流が流れません。

よって、\(I_0'\)は左へは流れず、全て\(a\)から\(b\)にいくので、

$$\begin{aligned} I_0'&=I_1' \\ \end{aligned}$$

となることが分かります。よって答えは(ワ)の\(I'_0=I'_1\)です。

閉回路の電圧降下の式 正解 (イ)

問題より、\(\lambda R_3 \)にも\(\lambda R_1 \)と同じ電流\(I_1'\)が流れることが分かります。よって、\(\text{a-b-c-d-e}\)の電圧降下の式は

$$\begin{aligned} \lambda R_1 I_1' + R_2 I_2' - E + R_2 I_2' + \lambda R_3 I_1' &=0 \\ \lambda \left( R_1 + R_3 \right) I_1' + 2R_2 I_2' - E &=0 \\ \end{aligned}$$

となります。よって答えは(イ)の\(R_1+R_3\)です。

なお、②式は\(\text{a-b-i-d-e}\)の電圧降下の式なので、同様に考えると

$$\begin{aligned} \lambda R_1 I_1' + R_1 \left(I_1' - I_2' \right) + R_3 \left(I_1' - I_2' \right) + \lambda R_3 I_1' &=0 \\ \lambda \left( R_1 + R_3 \right) I_1' + \left( R_1 + R_3 \right) \left(I_1' - I_2' \right) &=0 \\ \end{aligned}$$

となります。

\(\lambda = 1\)における電流\(I_2\) 正解 (ヌ)

\(\lambda = 1\)を代入して連立方程式を解きます。

$$ \begin{cases} (R_1 + R_3)I_1' + 2R_2 I_2' - E = 0 \\ (R_1 + R_3)I_1' + (R_1 + R_3)(I_1' - I_2') = 0 \\ \end{cases} $$

まず、式(2)を展開して整理します。

$$ \begin{aligned} (R_1 + R_3)I_1' + (R_1 + R_3)I_1' - (R_1 + R_3)I_2' &= 0 \\ 2(R_1 + R_3)I_1' - (R_1 + R_3)I_2' &= 0 \\ 2(R_1 + R_3)I_1' &= (R_1 + R_3)I_2' \\ 2I_1' &= I_2' \end{aligned} $$

式(3)を式(1)の \(I_2'\) に代入して \(I_1'\) について解きます。

$$ \begin{aligned} (R_1 + R_3)I_1' + 2R_2 (2I_1') - E &= 0 \\ (R_1 + R_3)I_1' + 4R_2 I_1' &= E \\ (R_1 + 4R_2 + R_3)I_1' &= E \\ I_1' &= \frac{E}{R_1 + 4R_2 + R_3} \end{aligned} $$

(1)と(2)より、\(I_2=I'_0\)、\(I'_0=I'_1\)ですから、\(I'_1=I_2\)です。よって

$$ \begin{aligned} I_2 &= \frac{E}{R_1 + 4R_2 + R_3} \end{aligned} $$

となりますので、答えは(ヌ)の\(\displaystyle \frac{1}{R_1+4R_2+R_3}\)です。

左側回路に電圧源を移動したときの電流\(I_2''\) 正解 (ル)

相反定理より、\(E\)を左側の枝に移したときに\(bc\)に流れる電流は移した先の枝に流れている電流に等しいはずですが、(1)、(2)で点線より左側の抵抗に電流は流れていないことが分かっています。よって\(I_2''=0\)です。

答えは(ル)の\(0\)です。

また、図4でbとdの電位差\(V_{bd}\)を考えると、仮に分圧前の電圧を\(V'\)としたとき

$$ \begin{aligned} V_{bd} &= \dfrac{R_1}{\lambda R_1 + R_1} V' - \dfrac{R_3}{\lambda R_3 + R_3} V' \\ &= \dfrac{1}{\lambda + 1} V' - \dfrac{1}{\lambda + 1} V' \\ &= 0 \\ \end{aligned} $$

となり、電位差がありません。よって電流は流れないことが分かります。

正解一覧
(1) \(I_2=I'_0\)
(2) \(I'_0=I'_1\)
(3) \(R_1+R_3\)
(4) \(\displaystyle \frac{1}{R_1+4R_2+R_3}\)
(5) \(0\)