電験一種 R3年 法規 問6
次の文章は,瞬時電圧低下に関する記述である。文中の(0)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
瞬時電圧低下は,電力系統に発生する事故等が原因で瞬間的に電圧が低下する現象を言い,略して「瞬低(しゅんてい)」と呼ばれることがある。事故は落雷や風雪害など自然現象によるものが多く,電圧低下の継続時間は(1)ミリ秒から数百ミリ秒が大半だが,最も長い場合では数秒程度に及ぶ場合がある。なお,電圧低下レベルは,事故点(落雷地点等)との近接度合いによって異なり,定格電圧に対する残存電圧の割合が0%~20%は短時間停電とみなす場合がある。
落雷による瞬低の例では,①「雷の発生」→②「送電線への落雷」→③「送電線に(2)が発生」,その結果,瞬低が生じ需要家負荷機器等に影響が発生するという過程をたどる。これに伴って,電力系統では,次の④以降のような動作が自動的に行われる。
①→②→③→④「保護リレーが(2)を検出」→⑤「送電線両端の遮断器を開放し事故箇所を除去」→⑥「(2)解消後に送電線を(3)」。
したがって,③から(4)の間が瞬低の継続時間となる。
瞬低による負荷機器への影響については,誤動作や停止などの影響を受ける例としてコンピュータが知られており,(5)などのバックアップ電源の必要性が指摘されている。また,パワーエレクトロニクス装置の停止による工場生産設備の停止等も影響の大きい事例である。
送電設備における雷対策の代表例は,架空地線の設置である。電力線よりも上部に架空地線を張って(6)することで,電力線への雷の直撃を防いでいる。通常,架空地線に落ちた雷撃電流は,鉄塔の塔脚接地抵抗を経て大地に流出し電力線へ影響を与えることはほとんどないが,まれに大きな雷撃電流が流れた場合は,架空地線や鉄塔の電位が上昇し,そこから電力線に向けて(7)が起きることがある。ひとたび通電経路が形成されると,雷撃終了後も(8)から故障電流が流れ続ける場合があるので,送電線の両端の遮断器を開放する必要がある。
(イ)(7) | 逆フラッシオーバ | (ロ) | ⑥ | (ハ)(6) | 遮へい |
(ニ) | 隠ぺい | (ホ) | フラッシバック | (ヘ) | 雷雲 |
(ト) | SVC(無効電力補償装置) | (チ) | 露出 | (リ)(1) | 数十 |
(ヌ) | バフェッティング | (ル) | 数 | (ヲ)(8) | 電源 |
(ワ)(5) | UPS(無停電電源装置) | (カ)(2) | 地絡 | (ヨ) | ④ |
(タ) | 切り替え | (レ) | 大地 | (ソ)(4) | ⑤ |
(ツ) | AVR(自動電圧調整器) | (ネ)(3) | 再閉路 |
出典:令和3年度第一種電気主任技術者法規科目B問題問6
解説
難しい問題ではないです。法規だけでなく電力の過去問もやっていればその知識で高得点を狙えるかと思います。
バフェッティング:ある物体に対して上流で発生した流れの乱れによって引き起こされる振動現象
フラッシバック:いわゆるフラッシュバック?フラッシオーバと勘違いさせるための選択肢?
いずれも誤答させるための単語で、意味自体はあまり問題ではないと思われます。
1.参考サイトによると、瞬低は0.07~2秒間続くようです。よって、数十ミリ秒です。
2.逆フラッシオーバは鉄塔に落雷する時の現象なので②に合わない、フラッシオーバは選択肢にないため地絡が妥当でしょう。
3.再閉路です。切り替えは切り替え先の送電線がないといけないですがあまりそういうのはない気がします。
4.⑤か⑥か悩ましいところですが、事故箇所を除去さえできれば電圧低下は解消されるため⑤です。
5.UPS(無停電電源装置)です。SVCとAVRが何なのか分かっていれば消去法でも解ける問題かと思います。
6.遮へいです。
7.架空地線や鉄塔への雷撃により架空地線や鉄塔の電位が上昇してフラッシオーバする現象を逆フラッシオーバといいます。ここが分かれば(2)も自動的に埋まるかと思います。
8.電源です。